日常と虚構のワルツ

嘘時々ホント

数日間

色々あってまったくブログを更新できていなかった。

この数日で僕の近況は大きく変わった。

まず僕は仕事を辞めた。

それまで社蓄だった僕はただの猫畜生に戻った。

これからどうするのか、とか先の展望は、とか色々考えるべきことはあるのだが、ひとまず僕には落ち着いて考える時間が必要だった。

会社と言う後ろ盾を失った僕は獰猛な動物が居るジャングルを丸腰で歩くも同然だ。

それが不安でもあり、恐ろしくもあった。


そして現在僕は一人、この部屋でブログを書いている。

同居人は先日全員旅立ってしまった。

なんでもびしょびしょの女の子は梅雨の精霊らしく、彼女は乾いた土地に長く居座る事が出来ないのだと言う。

八月初頭までここに居たのだからまるで説得力はなかったが、僕の疑問に対し彼女はこう答えた。

「 帰らなきゃいけなかったのに、いつの間にか夏になった。お前らと一緒にいるのが、あんまり楽しくてさ… 」

それはスタジオ地図が放つ名作時をかける少女に出てくる主人公の友達ちあきの台詞ではないかとゴリラが指摘すると少女はばつが悪そうな顔をした。

そんな訳でより湿度の高い土地に移り住もうとする少女に対しゴリラが自分の実家はどうかと提案したのだ。

「ゴリラの実家ってどこなのかな」

すると彼は僕の家にあるダンボールに描かれたロゴを指差した。なるほど、アマゾンか。

そんな訳で少女とゴリラ、そしてお目付け役としてオカマも一緒に旅路に同行することになり、僕は一人暮らしへと戻った。

寂しさを覚えないわけじゃない。折角無職になったのだ。これから一緒に過ごそうと思ったのに。

僕が肩を落としていると机の上に見覚えのない手紙が置かれていた。不思議に思い開けてみる。

そこには血文字で「アイシテル」と言う文字が七百個ほどびっしりと書かれていた。

なるほど、そう言えば世間は盆なのだ。

僕が考えるのとほぼ同時に、誰かが玄関のドアに頭をごんごんと打ち付ける音が響いた。

妙なうめき声も聞こえる。

会うのは久々かもしれない。

これより帰省した彼女を迎える為玄関へ赴く事にする。