おめでとうございます。
僕です。
年も明けまして2017年ですね。
今は東京で生活しております。
出会い系で言うサクラの中の人みたいな仕事をしています。
危機感しかない。
実家
に居る。
家の荷物を引っ越し業者が持って行ったからだ。
実家には何もない。漫画も、小説も、ゲームもパソコンも、何もない。
娯楽を制限された生活は僕に子供の頃を思い出させた。
子供の頃はよくファミコンをしていた。
兄と姉はスーパーファミコンをしており、僕はおさがりのファミコンしかさせてもらえなかったのだ。
「ドラクエ5」や「かまいたちの夜」と言った神ゲーを姉達がやる中、
僕はデータが速攻で消えるドラクエ3をやると言った苦行を行っていた。
面白そうなゲームを眺めるだけだった僕にとってスーパーファミコンと言うのはすこし特別な存在だった。
憧れの先輩的な位置だった。
そこに居ると胸が高鳴るし、手が触れるとドキドキした。
皮肉な事に、自由にゲームを買えるようになった今となってはゲーム自体しなくなってしまった。
でも憧れである事に変わりはない。
思い出は風化するけれど、感情は劣化しない。
実家に帰るとそんな懐かしい事を思い出す。
そう言えば家を引き払う際、同居人も他方へ行く事になった。
「一緒に東京に来るかい」と尋ねたが「私生まれも育ちも京都人ですので」と断られた。
私も生まれも育ちも京都なのですが。
そこらへんいかがお考えなのだろうか。
この度無事に
転職が決まった。
現在僕は京都に住んでいるのだが、次の職場は東京だった。
そのため引越しをする必要があった。
東京のとある不動産屋で尋ねると良い物件を紹介してくれた。
駅から徒歩10分、リビングとキッチンがあり、お風呂とトイレは別。
洗面台は独立していて、会社まで通勤一時間。
これで家賃6万5千円。
東京で暮らす方なら分かると思うが、これは異常な価格である。
人が5人くらい死んでいないとこの価格にはならないだろう。
「凄くいい物件ですね。誰か死んだりしてないんですか?」
内見の際、僕が尋ねると不動産屋の営業は「いやいや」と笑いながら壁の赤黒い染みをサッと拭いた。
「おや、こんなところに切断された指が」
「前の住民が置いて行ったんですよ」
「なるほど」
僕は納得して頷いた。
ここが新しい新居か。
僕は窓から差し込む光をみて、少し笑った。