会いたいんだけど、と言う話を僕がすると馬鹿じゃないのと言われた。
正確にはお馬鹿じゃないのでしょうかと言われた。
「はぁ、猫娘可愛い。会いたい」
「お馬鹿じゃないのでしょうか」
「猫耳つけてコスプレしている人がいるんだからその中に一人くらい本物がいたって良いじゃないか」
僕が言うとメリーはあきれたと言う風にため息をついた。
くちゃくちゃと言う音がする。僕が大切に作って保管していたプリンを咀嚼しているに違いない。
彼女が我が家に来てからと言うもの買いすぎた食材がちゃんと使い切ることが出来る。
それは嬉しいがエンゲル係数が半端ないのである。
メリーとは最近知り合った人の背後に立つのが趣味の女性である。
彼女は押しかけ女房的に我が家にやってきた。
まるでどこかのブログででっち上げられた安っぽい記事みたいだと思った。
鏡で確認したところめんこい女子だった。
夜這いしようと思ったのだが、彼女は忍者の様に僕の後ろに回りこむのでそういったことは出来そうになかった。
「Aさんの家より引越しして参りました。いまあなたの後ろにいます」
「ご苦労様です。今エッチな動画を見ているのですこし待ってもらっていいですか」
「はい」
「メリーさんは妖怪ですよね」
「妖怪ではありません。都市伝説です」
「つまりあなたは生ける伝説であると」
「そのように」
「はい。ところで、友達に猫娘はいないのでしょうか」
「いません」
「猫娘と友人である可能性が高い友達は」
「だから、いないんです」
「そうですか」
「じゃなくて」
「はい」
「いないんです。友達」
「俺が、俺が今日からフレンドだ!」