だった。
多分人生を左右する敵な面接だった。
本社が遠方にあるということなのでSkypeを利用したカメラ通信越しの面接だった。
実を言うとSkype面接はこれが初めてではなかった。
以前にもいちどSkype面接を行った事があった。
そのときは窓を開けていたため外の雑音が入ってしまい、うるさくて会話にならなかった。
あの時の失敗を繰り返すわけにはいかないので僕は窓を閉めて挑んだ。
「それでは坂さん、面接を始めます。あなたは「ウホウホ」」
後ろでゴリラがドラミングしはじめて面接官の声は掻き消えた。
僕は彼にそっと注意をして黙らせなければならかなった。
「失礼しました」
「ゴリラでも飼ってらっしゃるんですか?」
「まさか、ルームメイトが騒いだだけですよ。それより、続きを」
「ええ。坂さん、あなたは「ぶぇっくしょーい!」」
びしょびしょの少女がくしゃみしたせいで面接官の声は掻き消えた。
「お待ちください」
「はぁ」
僕は彼女を風呂に入れて温める必要があった。
風呂上りの彼女にタオルを渡す役割はゴリラに任せ、僕は席に着いた。
Skype面接は終わっていた。
呆然としていると少女が風呂から上がり、ゴリラが身体をタオルで拭いてあげていた。
「給料も入ったことだしミスタードーナツにでも行かないか」
僕が言うと二人は喜んで万歳した。
こういう休日も悪くないかな、と思う。