だった。
とは言え決して裕福ではなかった。
僕はこの数ヶ月、国に搾取され続けていた。
税金や保険金の支払いがやってくるのだ。
僕は東京に来て初めてこの国の恐ろしさを知った。
そう、これは失ったのではない。知識を得たのだ。
僕はこれからこの広い世界で生きる上で、必要最低限の知識を得たのだ。
そう思う事にした。
ところで、ずっとほしい物がある。
給料が入ったらそれを買おうと思っていた。
しかし、それが何か思い出せなかった。
数分後、僕は知る事になる。
給料を駆使してまで欲しかったものが、トイレの芳香剤であるという事に。