主体の生活にしてからすこぶる仕事の調子が良くなった。
おかげで帰ってから寝るだけの生活が続いている。
仕事の終わりに小説を書いたり、曲を作ったりするのが僕の主体だった。
夜更かしをしない生活は随分と体を楽にした。
そして休みを除くと趣味に没頭する時間が消えた。
僕はそれまで自分がアイデンティティーとして培ってきた全てを捨てている気がした。
仕事に生きるつもりはないのに、仕事に生きてしまっている気がした。
真綿で首を絞められるような、緩やかな苦しみに襲われている気がした。
奇妙な同居人たちが心配そうに僕を見ていた。
彼らの姿を見ると、僕はほっと安堵の息を吐き出してしまうのだ。