日常と虚構のワルツ

嘘時々ホント

アマゾン

から手紙が来た。

アマゾンと言うと大手通販サイトがイメージされるが、そうではない。

南米にある方だ。

 

実を言うとアマゾンには友人が三名ほどいる。

僕はかつて彼らと同棲していた。

三人のうち一人が非常に乾燥に弱かった。

その為、永続的に湿気ている地域に行く事になったのだ。

 

手紙を開くと「新年明けおめ」という旨のメッセージが書かれていた。

彼らは僕が今、出会い系のサクラみたいな仕事をしているという事を知らない。

 

仕事を始めてもう一ヶ月半になる。

すでに転職活動をしている。

 

職場や職場の人に別段文句はない。

本当に全然文句はない。仕事内容にしか。

 

ライターと言う仕事がここまで闇が深いと思わなかった。

暗黒を軽く凌駕している。深淵である。

そんなわけで研修期間中に移れそうなら移ろうと考えた。

明日面接である。

これで落ちたら僕はプロのサクラにならざるを得ない。

もしそうなったら一流のサクラになろうと思う。

実家

に居る。

家の荷物を引っ越し業者が持って行ったからだ。

実家には何もない。漫画も、小説も、ゲームもパソコンも、何もない。

娯楽を制限された生活は僕に子供の頃を思い出させた。

子供の頃はよくファミコンをしていた。

兄と姉はスーパーファミコンをしており、僕はおさがりのファミコンしかさせてもらえなかったのだ。

ドラクエ5」や「かまいたちの夜」と言った神ゲーを姉達がやる中、

僕はデータが速攻で消えるドラクエ3をやると言った苦行を行っていた。

面白そうなゲームを眺めるだけだった僕にとってスーパーファミコンと言うのはすこし特別な存在だった。

憧れの先輩的な位置だった。

そこに居ると胸が高鳴るし、手が触れるとドキドキした。

皮肉な事に、自由にゲームを買えるようになった今となってはゲーム自体しなくなってしまった。

でも憧れである事に変わりはない。

思い出は風化するけれど、感情は劣化しない。

実家に帰るとそんな懐かしい事を思い出す。

そう言えば家を引き払う際、同居人も他方へ行く事になった。

「一緒に東京に来るかい」と尋ねたが「私生まれも育ちも京都人ですので」と断られた。

私も生まれも育ちも京都なのですが。

そこらへんいかがお考えなのだろうか。